現在、ミュージシャンの夫の出稼ぎ旅行でオレゴン州のポートランドに滞在中です。 彼のお姉さんの家族が住んでいるので、仕事以外にも家族との付き合いなど、諸々忙しくしてます。
犬を飼っているので、旅行の際は犬も連れて行きます。彼女の名前はBudsie(バッジー)です。
Budsie雪の中を絶賛疾走中。
ほとんどの場合はホテルの部屋や滞在先の友人宅で犬はお留守番なのですが、スケジュールによっては夫の演奏中は仕方なく車で待たせることも。 旅をする機会が多いので、車で待つこと自体は大丈夫ですがテリトリー意識がかなり強いので、車の外で何かが動くと吠えます。人、自転車、バイク、他の犬、リス、~などなど。
さて、ある夜、諸々の事情でBudsieを夫の演奏でポートランド近郊の街のレストランに連れて行かなくてはならず、駐車場の人通りの少ないスポットに駐車。Budsieは車でお留守番。 この夜はポートランドにしては寒いとも言える40ºF = 4ºC ですが、モンタナから来てる私たちにとっては「うわー、春みたいな気候だね」的な暖かさ。 ちなみに、もっと寒くなればちょこちょこ車に戻ってヒーターを入れて車内が寒くなりすぎないようにします。
日本も地域によって文化が違いますが、アメリカも地域によって文化が異なります。時折、都市部では動物の扱いに対して、過剰とも言える反応に出会うことも。
この夜はそんな体験でした。
夫の演奏が済んで、夫は片付け、私は車を取りに。時間はほぼ深夜。 Budsieを車から出して用を足させていたのですが、隣に停車してた車から「その犬はあなたの犬?」という女性の声。
私:はい、そうですよ。私の犬です。 女性:こんなに寒い中、犬を車に置いておくのは良くないわよ。 私:私たち、モンタナからなんです。この気温は私も犬も全く問題ないですよ。 女性:そう、モンタナからなの?(やや想定外の回答だったらしい) 私:はい。これくらいの気温なら、むしろ暖かいくらいで。 女性:でも、零下なのに犬を車に放置するなんて本当に悪いことよ!犬はずっと吠えてて、車の窓は締め切ってるし。 私:彼女(Budsie)は何にでも吠えるんですよ。(零下じゃないし) 女性:(何故か私が冷静なのに苛立ったらしい)とにかく、あなたのしてることは最悪で許しがたい事なのよ! 私:… そうですか。色々教えていただいてありがとう。 女性:警察を呼んだけど、犬を救うために窓が破られなかったのはラッキーだったわね!(と言い残して車で走り去る)
まず、気温はポートランド基準では寒かったかもですが、決して零下ではありませんでした。 先に書いたようにBudsieはテリトリー意識が強いので、誰かが車に近ずいたり、ましてや覗き込んだりすれば吠えまくります。女の子にしてはかなり野太い声で。 車は宇宙船ではないので、窓を閉め切っていても空気は入ってきます。もしもっと暖かければ、少し窓を下ろして空気が入るようにしてますが…。
そして、警察かい。
警察を待っててもしょうがないので、車を少し移動して夫の楽器や機材を車に。夫に事の次第を告げて、どうするか相談してると、パトカーがいらっしゃいました。女性の警官がパトカーから近づいてきて、声を掛けてきます。
警官:今晩は。 夫:今晩は。 警官:犬について通報があって来たんですが。 夫:そうらしいですね。 警官:(車の窓を覗いて)犬のベッドもブランケットもあるし、大丈夫そうですね。 夫:私たちはモンタナからで、今夜の気温は暖かい方なんですがね。 警官:犬も健康そうだし。この辺りは、動物の扱いに対してかなり真剣にとらえる人もいますから、気をつけてくださいね。
と、アドバイス。チケットも何もなく去って行きました。
犬がどのくらいの寒さに耐えられるかは、7ºCくらいからマイナス4ºC位まで様々な説があるようです。 もちろん犬の種類によって違いますし、犬の年齢、健康状態、人間のように気候への慣れもあります。
Budsieはモンタナに住んで3年ほどになりますが、中西部のミズーリ州の出身。本格的にモンタナに移住後はすぐに雪と寒さに慣れて、マイナス7ºCくらいでも雪の中を2時間以上走り回ります。時には、マイナス10ºCでもリスを追いかけて2時間戻ってこないことも。
自分の意見は常に正しいと信じて状況や相手の事情は鑑みずに責めまくる、いわゆる動物愛好者はソーシャルメディアではよく見かけますが、実際に出会ったのはこれが初めてでした。 冷静に説明の余地を与えられずに、キツい言葉を浴びせられるのは全くもって気持ちの良くない事です。 こういう人たちは理を持って言葉を交わすのは難しいので、私は努めて冷静に対応するようにしてますが、相手のネガティブな感情を受け止めないといけないので、後でドっと来るんですよね。
やーれやれ。
オレゴン州のリンカーンのビーチにて。